ワイルドライフアート1

Wild life art

私の所属する動物アートの団体「日本ワイルドライフアート協会」の展示会が年3回あり、それぞれに新作を出し続けていることもあり、現在制作活動の大きな比率を占めています。今後もこのペースで作品が増えていくことと思われます。ただ私の場合モチーフのチョイスがややマニアックと言われますが、これは自分が実物を見てみたいと思うものを作るというのが動機になっているからです。

 

 1.不死鳥


Phoenix

1989年発表 B2半立体 マーメイド使用
野生動物といいながら、いきなり架空の生物から始まってしまいましたが、他にふさわしいカテゴリーがなかったので、生物つながりでここに入れてしまいました。
この作品は製薬会社の広告にイラストとして使うために依頼されたものです。できるだけ手塚治虫作品の「火の鳥」の印象から離れるためにリアルで野生味あふれる姿に変えました。胸からのどにかけてのふくらみは、シャモを参考にしています。また、黄色のマーメイドに赤を吹き付けることによって微妙な炎のグラデーションを作っています。
 

2.The Last Dinner

The Last Dinner

1996年発表 B4半立体 マーメイド、和紙等使用
この構図が言わんとしていることはおわかりでしょう。この数瞬後に起こるであろう壊滅的な悲劇を。ちなみにキリストの「最後の晩餐」の原題は「The Last Supper」ですから、それを「ごちそう」に変えたことで、さらに皮肉がこめられたタイトルとなりました。この恐竜は、組み立て前に紙にウロコの凹凸をつけておき、さらにエアブラシで塗装するという「掟破りテクニック」によって究極のリアリズムを追求したものです。

3.QUETZAL

Quetzal

2001年発表 高さ50cm タント紙、マーメイド、和紙等使用
ケツァールと読みます。中米コスタリカの国鳥でジャングルの樹冠部分を飛ぶため、人に目撃されにくい幻の鳥で、写真もあまり紹介されていません。しかし長い尾をなびかせて飛ぶ姿は圧巻で、火の鳥のモデルになったという説もあります。この作品を作った動機はただ、私自身がこの鳥を見たかったからにほかなりません。

4.ハチドリ

Humming bird

2002年発表 高さ25cm タント紙、和紙、トレーシングペーパー等使用
トケイソウの花蜜を吸うハチドリ(アンナハチドリ)を作りました。宙に浮いたハチドリは、クチバシから出した針金によってトケイソウの花に連結されています。高速で羽ばたいている一瞬を表現するため、ハチドリの風切り羽はトレーシングペーパーで半透明にして作りました。

5.オニオオハシ 

Toco Toucan

2003年発表 高さ30cm タント紙、マーメイド、和紙等使用
中南米に住む、くちばしの異常に大きな鳥です。止まり木も紙で作られています。鳥、止まり木とも、スチレンボードを組み合わせて芯を作ってあるので、結構がっしりしています。足には針金が芯に入っていて、止まり木に突き刺してあります。

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6.アオアズマヤドリ


Satin Bowerbird

2003年発表 展示幅40cm タント紙、色画用紙、和紙等使用
オーストラリアに住むこの鳥は、メスをおびき寄せるために枯れ草で巣を造り、その周囲に青い色をした小物を散りばめて飾る習性があります。そんなユーモラスな情景をそのまま紙で再現しました。巣の中にいる緑色の個体がメスです。鳥の脚や立っている枯れ草には針金の芯が入っていて、これを土台の木板に突き刺して固定してあります。



 

 

7.モモイロペリカン

Great white pelican

2003年発表 A3半立体 タント紙、マーメイド使用
自作の木箱に直接貼り付けたもので、上部にフレームの陰が映ってしまっていますが、ご了解ください。補助光源を使うと写真がフラットになってしまいますので。
モモイロペリカンが水面から飛び立つ瞬間を水しぶきもろとも凝結させて、半立体で表現しました。ワイルドライフアート展に出品したもので、各パーツを前後させて配置し、目の錯覚によって立体感を見せる従来のペーパーイラストとは違い、実際に立体のペリカンを薄く作るという方法をとりました。このため、多少角度を変えて見ても、リアルなペリカンのフォルムがくずれないようになっています。。

 

8.グンカンドリ

Frigate bird


2004年発表 幅50cm マーメイド、タント紙使用
南太平洋に見られる黒くて大きな鳥ですが、そのオスの求愛行動はユニークです。のどにある赤い袋を風船のように膨らませてメスに誇示するのです。ドキュメンタリーのビデオでしか見たことのない、この光景を目の当たりにしたくて作ってしまいました。持ち運びの収納の際、左右の翼と土台は外せるようになっています。
 
   

9.レッサーパンダ

Lesserpanda


2004年制作 40cm タント紙使用
私としては珍しく大衆に人気のある動物を作っています。動物を自然に見せる方法は、左右対称に作らないことです。ここでもちょっと左右を変えてポーズをつくり、紙を貼っています。顔や尾を見てもらうとわかりますが、この頃はあらかじめ紙にテクスチャを印刷するという方法をとらなかったため、顔の模様も細かい毛並も、みんな紙のパーツの重なりで表現していました。
 
 

10.ロンサム・ジョージ

Lonsome George

2005年発表 高さ12cm タント紙等使用
ガラパゴス諸島ビンタ島でたった一頭だけ生き残った、推定年齢100歳のガラパゴスクラゾウガメ。人間の自然破壊による悲劇の象徴として知られていました。甲羅の複雑な凹凸に苦労しましたが、本物は背中が少しくぼんでいるようです。この作品を制作当時はまだ存命でしたが、2012年に亡くなりました。
 
 

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